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すとうmriクリニック様

録画配信用プレイヤー


研修開始まではサンプル動画を配信しております。

視聴期間は2024年10月21日~2025年1月19日23:59までとなります。 

 

期間内に研修を修了されますよう、よろしくお願いします。



質疑応答



Q.X線室へ一時的に立ち入る介助者(看護師等)の被曝管理はポケット線量計等で管理した方がよいですか?また、記録方法等についても教えてください。


A.ここで考えるべき内容として、【被ばく線量測定】と【一時立入りの記録】の大きく2つに分けられると思いますので、順番に解説していきます。

【被ばく線量測定】
X線室へ一時的に立ち入る介助者(看護師等)の被ばく管理については、ポケット線量計等で管理することが望ましいです(電離則第8条第1項) 。
しかし、次のア及びイのいずれにも該当する場合は、 第 1 項に規定する線量の測定を行ったものとして取り扱って問題ありません。※基発第 253 号第 3 細部事項 9 線量の測定 (電離則第 8 条関係)
ア)当該労働者の外部被ばくによる実効線量が0.1mSvを超えないことが確認できる場合、又は当該放射線業務従事者の過去の被ばく状況から当該立入の間の外部被ばくによる実効線量が明らかに0.1mSvを超えないことが確認できる場合
イ)当該労働者の内部被ばくがない場合又は内部被ばくによる実効線量が空気中の放射性物質の濃度及び立入時間により算出でき、かつ、その値が0.1mSvを超えないことが確認できる場合
簡単に申し上げると、被ばく線量が0.1mSvを超える恐れがない場合はポケット線量計は不要ということです。

【一時立入りの記録】
当該労働者の管理区域への立入りの記録を次の事項について行い、これを少なくとも立入り後 1 年間保存することが望ましいとされています。
ア 管理区域に立ち入った年月日及び時刻並びに当該管理区域から退出した年月日及び時刻
イ 管理区域のうち立ち入った場所
ウ 管理区域に立ち入った目的及び作業内容
エ 管理区域内で当該労働者と行動をともにする放射線業務従事者等で線量の測定を行った者がいた場合 は、当該者の氏名、所属及び職務内容

このとき、記録媒体は電子媒体でもいいですし、ノートなどの紙媒体でも構わないと思います。

【某保健所の考え】
以下に某保健所の考え方を示します。

『基本的に医療機関で働く医療従事者には一時立入者は存在せず、反復継続的に放射線業務に従事する可能性がある職員は放射線業務従事者ですので、必ず、被ばく管理を適切に行い、測定結果書等を対象職員に通知してください。ただし、電離放射線健康診断を省略するかどうかは、管理者や産業医等の判断となりますので、問診を行った後に判断してください。』

上記の内容を踏まえた上で、それぞれのご施設の実情にあわせた運用をお願いします。その他、気になる事項がある場合は、管轄の保健所の監査員の指導に従ってください。





Q.放射線部門において医療監査で指摘される可能性がある項目にはどのようなものがありますか?


A.これまでの監査では以下のような指摘事項が挙げられました。

  • 診療用放射線の利用に係る安全な管理のための責任者が配置されていない。
  • 従事者に対する診療用放射線の安全利用のための研修を年1回以上実施していない。
  • 診療用放射線の安全利用のための指針が策定されていない。必要な改訂が行われていない。
  • 放射線診療を受ける者の当該放射線による被ばく線量の管理及び記録、その他の診療放射線の安全利用を目的とした改善のための方策(診療用放射線に関する情報収集及び報告等)の実施がされていない。
  • 放射線障害の発生または発生するおそれがある場合の連絡網並びに通報先等(管轄の警察署・保健所・消防署)を記載した通報基準や通報体制を整備されていない。

  • 貴院の監査対策の参考にしていただければ幸いです。





    Q.放射線安全管理指針の作成方法を教えてください。また、改訂する際などポイントがあればアドバイスお願いします。


    A. 基本的な安全指針の作成方法については下記リンク先をご参照ください。
  • 診療用放射線の安全利用のための指針モデル|日本放射線技師会 


  • 作成にあたってポイントとしては3つあります。
    ①線量記録の保管期間については照射録と同じ3年、もしくはカルテなどの診療録と同じ5年にするかは院内で話し合って決めてください。
    ②インシデントや事故発生時の報告体制についても事前に決めておくと良いと思います。既に医療安全委員会等で報告フローができていると思いますので、そちらを流用されるのも手かと思います。
    ③研修方法や回数については指針に明記しておくと良いでしょう。

    最後に、改訂に関してですが、一例として2020年7月に【DRLs2015】から【DRLs2020】へ変更がありましたので、これに合わせて線量管理の項目を見直してはいかがでしょうか?その他、院内でのルールの変更等がなければ指針はそのままで良いかと思います。

    また、以下に放射線安全管理指針のサンプルファイル(Word)のリンクを貼ります。ご参考いただけますと幸いです。

    放射線安全管理指針サンプル




    Q.患者への被ばく説明は医師がすべて行わなければいけないのでしょうか?


    A. 放射線診療の正当化については医師が説明を行う必要があります。しかし、被ばくについての説明は、各施設の考え方にもよりますが、必ずしも医師が行う必要はないと考えます。
    医学放射線学会のQ&Aでは、「依頼医が説明と同意を得た旨をカルテに記載すること」とあります。しかし、電子カルテから説明文書を発行できて、その発行履歴が残る場合はそれをもってカルテ記載とみなしても良いとされています。また、カルテから出力せずに事前に印刷した説明文書を患者に手渡す場合でも、カルテに「説明は既定の方法で行った」と記載することも良いとされています。各施設で検査の同意書および被ばくの説明用紙を作成し運用する方法がスタッフの負担が少ないのではないかと思います。
    その他、患者から詳細な問い合わせがあった時のために、医療放射線安全管理者や放射線科などに専用の窓口を別途設ければよいかと思います。




    Q.被ばく管理システムは導入すべきですか?その際の選定ポイントなどあれば教えてください


    A. 当院(横浜医療センター)では被ばく管理システムを導入していますが、私は被ばく管理システムは必須ではないと考えております。
    線量管理システムを使用すれば、被ばく管理担当者の負担は減ると思います。
    しかし、DRLと自施設の線量を比較する際は、スライドでもお話した通り、各プロトコル毎に最低20例以上のデータの中央値と比較すれば十分ですので、線量管理システムがなくても十分検証は可能です。(J-RIME:最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベルの設定(その2) 説明資料)

    例えば線量の他施設比較をしたい、患者個人の被ばく歴を一元管理したい、血管撮影の皮膚線量分布をシミュレーションしたいなど+αを求める場合に導入を検討すればよいと思います。

    メーカー選定のポイントは、まず管理したいモダリティの範囲を施設内でしっかり定めることが大事です。
    後は集めたデータからDRLとの比較が簡便にできるか、抽出したデータから会議資料や患者説明用の資料は作れるか、臓器線量は必要か、他施設比較は必要か、電子カルテ、RISとの親和性は必要かなどを施設内でよく検討し、必要でしたら専用の線量管理システムを検討してみてください。ただこちらは比較的高コストだと思います。
    また、RISのベンダーでもRDSRや画像から線量情報を取り込んで記録するオプションを持っているベンダーもありますので、簡便で良いならシステム更新の際にRISに組み込むのもコスト面でも管理面でも良いのではないかと考えております。




    Q.胸部レントゲンなど低線量領域の線量記録も今後は必要になっていくのでしょうか?

    A. 一般撮影は現状法令においての線量記録義務はありませんが、医政局の通知※1においては必要に応じて記録することが望ましいと記載があります。
    ですが、現状は記録方法の難しさ(自動化するには、装置に面積線量計の装備が必要)と過剰照射等による事例発生の可能性の低さから、断言することはできませんが今後も線量記録が義務化される可能性は低いのではないかと考えております。
     ですので、低線量領域の記録を行うかは各施設の考え方に一任されます。
    現状は、記録したデータの利用を基準に必要かどうかを考えてみてはいかがでしょうか。
    例えば、患者説明の際により正確な値を伝えたい、DRLとの比較のためのデータを簡便に取得したい、撮影者の違いによる線量差をなるべく少なくするなどの教育的な目的、日本診療放射線技師会が認定する被ばく低減認定施設の取得を目指す等が挙げられます。
    装置の表示線量から自動で記録を出力できるシステムを構築できるようでしたら、導入コストを考慮した上で記録することも考えてみても良いのかもしれません。
    現状、一般撮影等の線量記録は多大な労力を要するので、明確な目的がない限りは従来通り照射録の撮影条件の記録だけで十分ではないでしょうか。
    ※1医政発 0312第 7 号